当たり前のように過ぎていく日々は突然変わってしまうもので、私の病が発覚してから、私の生活も家族の生活も変化しました。
それでも、暗くなりがちな心を温めてくれる出来事はたくさんあり、例えば、息子のこんな一言を聞きました。
あるとき私は、長期間入院することになりました。
コロナの影響で面会は禁止され、息子に会えない日々、義父と義母が同居なのでかなり安心なのですが、それでも私の前では甘えん坊の息子です。
「ママがいなくて、さみしくないだろうか。いつもみたいにギューッとしてあげたいのに」と、多分私のほうが、息子への思いをつのらせていたと思います。
けれど、本人は意外と平気そうで、ときどき電話をしても、すぐに「パパと代わるね」と言われ、いつものようなくだらなく楽しい話をしてくれません。
たまに面会が許されても、照れるばかりでこちらに寄ってきてくれません。
それは仕方ないことで、小学3年ともなれば、子どものようでけっこう大人です。
彼なりに忙しく過ごし、「さみしい」などと口にしたことはないと主人は言いました。
安心するようなさみしいような、複雑な気持ちになります。
さて、長かった入院生活を終えて、家に帰ったその日の夕食、息子が妙にソワソワしています。
とにかく口数が多いし、ご飯は勢いよくかき込むし、あまりお行儀がよくなかったので、注意しようかと思ったときでした。
「やっぱり、5人そろうのがいちばんいいね」。
そう言って、息子がニコニコ笑って、家族みんなが笑顔になった瞬間でした。
「家族5人全員」、そこには、しっかり私も含まれています。
私が帰ってきたことを喜んでくれていると同時に、家族の大切さが息子の中にこみ上げたのかもしれません。
それ以来、くだらなく楽しい話も、ギューも復活しました。
しっかり甘えてくれながら、一つ大人になった姿を見せてくれています。
コロナ禍の中でも、こんなほっこりした経験ができて幸せだなと思いました。
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